こころの子育て 『誕生から思春期までの48章』

朝日新聞社   河合隼雄 著

 

日本の心理学の第一人者とも言われていらっしゃる河合氏の本は、教育学を学んだ方でしたら一度は手に取ったことがあるのではないでしょうか。

私は河合氏の本は大好きなんですが、中でもこの本は読みやすく、わかりやすい、子育ての今だけでなく、思春期まで視野に入れれるという点でお勧めです。多くの親が悩んでいる思春期の子育てについて、全般的に生まれた時から思春期に至るまでを関連付けて書いてある読みやすい本は非常に少ないですが、この本は、そういう貴重な本です。

心理学などの知識がない一般の人が読みやすいようにと、Q&A形式にし、あくまで話し言葉で、著者が自由に語ったことをもとにして書かれた48章です。ただしQ&A形式でもハウツー的な回答ではなく、答えは問いから外れて、無関係なことに広がっています。

誕生から思春期に至まで発達的な流れに沿って話を進めていっているので、最初から順番に読む方がわかりやすいようですが、1章が4ページくらいのQ&A形式ですので、気になるところから気の向いた時に簡単に読むこともできます。

非常に丁寧な長いもくじを紹介します。

はじめに

木のある風景
 Q1  豊かな時代なのに、なぜいろいろ問題が起きるのですか?
     みんながこころを使うことを忘れているからです。
 Q2  子育てがうまくいかないのは母子関係が原因でしょうか?
     原因がわかっただけでは何の解決にもなりません。
 Q3  子どもをちゃんと育てていけるかしらといつも不安です。
     どういう子育てがいいのか、ぼくにもようわかりません。
 Q4  ついつい子どもに口うるさくなるのはなぜでしょうか?
      お父さんが「お父さん」をサボっている証拠です。
 Q5  「お母さん」になると「私」でなくなるようで怖いです。
      その両方をどう生きるかが、その人らしさなんです。
 Q6  いまは子どもにとって、悪い誘惑が多すぎませんか?
      誘惑に取り込まれない人間に育てることが大事です。

ふたばのころ 〜誕生から小学校入学まで〜
 Q7  赤ちゃんにとって何がいちばん大切ですか?
      母子一体感、「守られている」と感じることです。
 Q8  子育てが嫌で仕方ありません。どうしたらいいですか?
      そういう気持ちを、まずじっくり聞いてもらいましょう。
 Q9  いまの子育てで気になることといったら何でしょうか?
      親としてのカンを磨くのをサボりすぎていることです。
 Q10 イライラして叱ってばかりいます。どうしてでしょうか?
      親が不安になっているか、ちょっと期待が高すぎるからです。
 Q11 「早くしなさい」「それはダメ」と、小言ばかり言っています。
      手出し口出しする前に、5秒待って様子を見るんです。
 Q12 思い通りにならないのは、子育てが悪いからですか?
      生きているんだから思い通りになるはずがないです。
 Q13 言うことを聞かないと、どうしても叩いてしまいます。
      親子だけで閉じてしまわない工夫や努力が大切です。
 Q14 ボーッと’していることがよくあります。心配ないですか?
      そのように見えるときこそ、こころが育っているんです。
 Q15 「ストレス信号」が出たときは、どうすればいいでしょうか?
      いつもより大目に見てやって、見守っていれば大丈夫です。
 Q16 甘えん坊なので「自立できないのでは」と心配です。
      十分に甘えさせてやったら、ちゃんと自立していきます。
 Q17 「サンタクロースはいない」といつ教えたらいいですか?
      わざわざ教えることはありません。自分で気が付きます。
 Q18 「死」については、どのように教えるのがよいでしょう。
      もう、自分が思っていることを言うしかないですね。
 Q19 早期教育は子どもにプラスですかマイナスですか?
      就学前に大切なのは勉強ではない、自由遊びです。

新芽のころ 〜小学校時代〜
 Q20 「ほめるのが大事」と言われますが、どうも苦手です。
      わが子のよいところを5つ考えてみたらどうですか。
 Q21 10歳なのに、ひとりで寝るのを嫌がるようになりました。
       自立は不安を伴います。親の後ろ盾を確かめたいのです。
 Q22 4年生のころから、描く絵がつまらなくなりましたが。
       「自分」に目覚め、大人の真似がしてみたい時期です。
 Q23 子どもが動物を飼いたがるのは、どうしてでしょう。
       動物は親なんかより自由な生き方をしているからです。
 Q24 個室を与えるのによい時期というのがあるのでしょうか?
       「わが家の憲法」で「個室は何歳から」と決めるんです。
 Q25 父親として子どもにどう接したらいいのかわかりません。
       普段は「まるごとの自分」、怒るときは「雷のち晴れ」です。
 Q26 子どもが学校に行きません。どうしたものでしょうか?
       せっかく行かないのだから「チャンス」と思ってください。
 Q27 子どもがいじめにあったときの対応を教えてください。
       冷静な判断と、絶対退かない毅然とした強さが必要です。
 Q28 「個性」とか「個性的に生きる」って、どういう意味ですか?
       確実でないこと、数字に表せないことに賭けることです。
 Q29 思春期までに親としてやっておくべきことは何ですか?
       「ああおもしろかった」という体験を貯金しておくことです。

若葉のころ 〜思春期〜
 Q30 中学生になって急に無口になるのはどうしてですか?
       言葉にならないくらいのすごい体験をしているんです。
 Q31 子どもがしていることがどうしても受け容れられません。
       そういう状況を、親も一緒になって作ってきたわけです。
 Q32 同じ苦労を子どもにはさせまいという思いが通じません。
       「自分の考える幸福」を押し付けても役に立ちません。
 Q33 子どもが親と正反対のことをするのはなぜですか?
       親の盲点だからです。反抗なしの成長はありません。
 Q34 子どもが悩んでいるとき、どうしてやったらいいですか?
       「さなぎ」の時期は、そっとしておくのも大事です。
 Q35 「キレそう」「カンケーねえよ」と言われてしまいます。
       ただ怒鳴りあうのではない、「本当の対決」が必要です。
 Q36 思春期の子どもと対話するときのコツはありますか?
       「相手の言うことを腹を据えて聞く」という気構えです。
 Q37 校則についていろいろ意見がありますが、必要でしょうか?
       規則の前に「ひと」が立っていれば、あって大賛成です。
 Q38 実際に問題が起こってしまったら、どうすればいいですか?
       反省ばかりするのはやめて「これから」を考えることです。
 Q39 成績はよい方が、将来の幸せにつながるのではないですか?
       「何番か」ではなく「どんな子か」で見ないと幸せは遠いです。
 Q40 覚醒剤が中学生にまで広がっているのはなぜですか?
       母性が弱かったら他の物に依存するしかありません。
 Q41 いまの子どもたちは、悩みなんかないみたいに見えますが
       自分でもわからないほどの深い悩みを抱えていることもあります。
 Q42 このごろ心身症が多いそうですが、なぜですか?
       感情を抑えてい知に走る現代に特有の「文化の病」なんです。

森へ
 Q43 親の話など聞いてくれず、絆が切れてしまったようです。
       強い絆よりも深い絆で結ばれることを考えたらいいです。
 Q44 悩み始めると迷ってばかり。さっぱり結論が出ません。
       葛藤を抱え続けられるというのが「おとなの条件」です。
 Q45 衝突ばかりしていますが、親子の相性が悪いのでしょうか?
       夫婦で解決すべき課題がないか、点検したらどうですか?
 Q46 子育ては何を目標にしてやっていけばいいですか?
       「自分の人生を生きられる人間」に育てることです。
 Q47 子育てにゴールがあるとしたら、それはいつでしょう。
       子どもが本気の恋愛をしたら、親の役目もひと段落です。
 Q48 どうして家族が一緒に暮らすことが大事なのでしょう。
       家庭は受け容れがたいことを受け容れる「家庭禅」の道場なんです。

おわりに 〜自己実現と子育て〜

絵本の森の文庫にもありますので、是非、ご利用ください。
また、お手元に置いてじっくりと読みたい方は下のタイトルから購入できます。

Q&A...

 

 

 

 

 

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